蕪村俳句と比喩―活喩(擬人法)(1/8)
活喩(擬人法)は、人間以外のものを人間に見立てて表現する修辞法。
老武者と大根あなどる若菜哉
鶯の浅井をのぞく日影かな
うぐひすのかぞへのこした枝寒し
鳥さしを尻目に藪の梅咲(さき)ぬ
散(ちる)たびに老ゆく梅の木(こ)末(すゑ)かな
一軒の茶見世の柳老(おい)にけり
花のみ歟(か)もの云はぬ雨の柳哉
莟(つぼみ)とはなれもしらずよ蕗の薹
草霞み水に声なき日ぐれ哉
蛇(へび)を追ふ鱒(ます)のおもひや春の水
飛込(とびこん)で古歌(ふるうた)洗ふ蛙かな
*芭蕉句「古池や蛙飛びこむ水の音」を背景に、古池に飛びこんだ蛙は、身にまとわりついた「古歌」の垢を洗い落として、新しい俳諧を歌うようになった、と主張する。