天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕪村俳句と比喩―活喩(擬人法)(1/8)

 活喩(擬人法)は、人間以外のものを人間に見立てて表現する修辞法。

     老武者と大根あなどる若菜哉
     鶯の浅井をのぞく日影かな
     うぐひすのかぞへのこした枝寒し
     鳥さしを尻目に藪の梅咲(さき)ぬ
     散(ちる)たびに老ゆく梅の木(こ)末(すゑ)かな
     一軒の茶見世の柳老(おい)にけり 
     花のみ歟(か)もの云はぬ雨の柳哉
     莟(つぼみ)とはなれもしらずよ蕗の薹
     草霞み水に声なき日ぐれ哉
     蛇(へび)を追ふ鱒(ます)のおもひや春の水
     飛込(とびこん)で古歌(ふるうた)洗ふ蛙かな
芭蕉句「古池や蛙飛びこむ水の音」を背景に、古池に飛びこんだ蛙は、身にまとわりついた「古歌」の垢を洗い落として、新しい俳諧を歌うようになった、と主張する。

f:id:amanokakeru:20200414072320j:plain

大根