天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

自転車(8/10)

ママチャリ

 歩行者と書かれてある通行路を、平気で自転車に乗って走るなどから、自転車による人身事故が多くなっている。加害者に対しては、損害賠償額が高くなっていることから、自転車にも保険をかけることが義務化されつつある。歩行者専用(自転車は降りて)とある通路を、気にもとめず幼児を乗せたママチャリが走りぬける現状がある。自転車の交通指導をもっと普及させる必要があろう。


  雲を雲と呼びて止まりし友よりも自転車一台分先にゐる
                     澤村斉美
  ひと日を了へ荷の重げなる紙芝居の自転車立つをわれは
  見守る                田谷 鋭


  犬が唄ひ夏椿散り豆腐屋の自転車が息つきてゐる夕暮れの坂
                     藤井常世
  なんとなく生かされている悔しさは宙吊りのままの自転車
  のような              楠田智佐美


  あっさりとカシミアセーター着くずして自転車に乗るように
  生きたし               松平盟子


  いっしんに自転車を漕ぐ乙女の足のああほれぼれとこの世を渡る
                     今井千草
  帆のやうに風はらむシャツ自転車の少年朝の坂駈け下る
                     森谷勝子