天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夕陽のうた(7/10)

インド・パンピの夕陽

 夕映えには、(1) 夕日を受けて照り輝くこと。(2)夕焼けのこと。(3)夕方の薄明かりに物の姿がくっきり浮かんで見えること。また、その姿。 などの意味がある。
 夕陽の情景が喚起する心情は、人それぞれだが、必ずしも寂しいとは限らない。幸福感をもたらすこともある。単に美しいと感嘆することもある。



  守るには夕日を見詰めすぎて今やさしき部屋の火に
  手をかざす             甲村秀雄


  わがめぐり夕映えもみじ 木枯しに舞い重なりて庭
  終りなき              三宅千代


  仰向きに死なむとしゐる油蝉をしづかに看取る夕日の
  ひかり               高野公彦


  夕映えは川を飾りて雲よりも微妙の色に水を染めたり
                    森本治吉
  いましづかに夕日がしづむ鳥よりも風よりもとほき旅を
  してきて              藤井常世


  片がはに夕日を受けて耀ける樹が見ゆあたたかき魂が見ゆ
                    藤井常世
  少しづつ色の失せゆく沼の端に夕陽が赤き輪を結びゐる
                   飯島由利子


[注]右上の画像は、「生で見たい世界のうつくしい夕焼け10選」から借用した。
    http://blog.compathy.net/2015/01/02/sunset_yf/