天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夕陽のうた(6/10)

山形県・日和山公園の夕陽

 以下の歌にでてくる言葉をいくつか説明しておこう。夕照(せきしょう)は、夕焼け、夕映え、夕日のこと。生漉(きすき)は、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)だけを用い,他のものを混ぜずに紙を漉くこと。また,その和紙。


  たえまなきまばたきのごと鉄橋は過ぎつつありて遠き夕映え
                     高安国世
  夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで
                     仙波龍英
  しづかなるひとときのまのゆふかげは生漉(きすき)の紙の
  上に差したり             岡辺文夫


  夕光(ゆふかげ)の空吹かれ来し花びらは流れに浮きてさらに
  早しも                長澤一作

  あかあかと夕日が山を下りてゆく何処かで一度見たことがある
                     山崎方代
  ある角度に夕日射すとき盛りあがり水銀の粒(りゆう)のごとき
  野の水                永田和宏


  夕ひかり衰うる頃見えきたる波寄する国雲過ぐる国
                     永田和宏


[注]右上の画像は、「死ぬまでに一度は見るべき!「日本の夕陽百選」に
   選ばれた美しすぎる夕日9選 」から借用した。
    https://retrip.jp/articles/4913/