わが歌枕―鹿島
茨城県鹿島市に当る。古来、鹿島神宮で有名。関東から招集された防人たちはここに集合して武運を
祈ってから九州へ出発したという。
三名部(みなべ)の浦潮な満ちそね鹿島なる釣する海人を
見て帰り来む 作者不詳『万葉集』
あられ降り鹿島の神を祈りつつ皇御軍(すめらみくさ)に
吾は来にしを 大舎人部千文『万葉集』
鹿島なるつくまの神のつくづくと我身一つに恋をつみつる
読人不知『拾遺集』
なぞもかく別れそめけん常陸なる鹿島の帯のうらめしの世や
『散木奇歌集』
*『散木奇歌集』: 平安時代後期の歌人源俊頼の自撰家集。 10巻、1622首からなる。
鹿島の帯: 昔、正月14日に常陸国鹿島神宮の祭礼で行われた
結婚を占う神事において、意中の人の名を帯に書いて神前に供え、
神主がそれを結び合わせて占った。神功皇后による腹帯の献納が
起源とされる。
神官の家に生まれて武者修行 無手勝流も塚原卜伝