天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

わが歌枕―出雲

出雲大社(本殿古芯柱跡)にて

 出雲は島根県東半部にあたる旧国名出雲神話の舞台で、古代日本の政治・宗教の中心地。出雲大社が有名。これは国譲りの交換条件として建立された。つまり出雲王権がヤマト王権下に入ることになった時である。この初代本殿は巨大なもので、32丈(およそ96m)であった、という。東大寺大仏殿(当時の伝承によれば十五丈・45m)の倍もあったことになる。その証拠とされる御心柱の跡が発掘されている(右上の画像参照)。私が訪れた時、たまたまこの発掘の結果を見ることができた。


  八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を
             スサノオノミコト古事記
  八雲さす出雲の子らが黒髪は吉野の川の沖になづさふ
                 柿本人麿『万葉集
  出雲の海沖にむかひて天つたふ日をみるからにおへる粼の名
                       海量
  八雲たつ出雲の国の手間の山なにのてまなく立つ霞かな
                     橘 曙覧
  神無月 出雲への出立(たち)遅れたる神が屋台にコップ酒飲む
                     遠山 満


  いにしへの太き柱の跡いでて身近になりぬ出雲の神話
  それぞれが史実を映す話なり古事記にのこる出雲の神話