通称「薩摩富士」。鹿児島県薩摩半島の南端に位置する標高924mの火山。日本百名山のひとつ。薩摩半島の最南端に位置し、海上交通の重要な目印とされた。太平洋戦争では、知覧の陸軍飛行場から飛び立った特攻隊機は、まず開聞岳へと進路をとり、富士山に似たその山容に故国への別れを告げて南方へ向かったという(二、三首目)。なんとも哀しく痛ましい。
南端の海しづかにて秋の日は開聞(かいもん)岳(だけ)の
かたはらにあり 佐藤佐太郎
開聞岳に挙手し機翼振り征きにしかけふ雨に来てその山を見ず
木下孝一
富士に似たる開聞(かいもん)岳(だけ)を振り返り特攻隊員は
飛び去りしとふ 羽田忠武