海の語源は、「う(大)」と「み(水)」である。海にかかる枕詞には「いさなとり」「にほてる」がある。古語では「わた」とも読む。海原は「わたの原」とも言った。「わたつみ」は海の神をさした。「荒磯海(ありそうみ)」は、岩の多い荒波の寄せる海岸のこと。
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ
柿本人麿『万葉集』
飼飯(けひ)の海の庭好くあらし刈薦(かりこも)の乱れ出づ
見ゆ海人の釣船 柿本人麿『万葉集』
海神(わたつみ)の豊旗雲に入日さし今夜(こよひ)の月夜さやけく
ありこそ 中大兄『万葉集』
海の底奥を深めてわが思へる君には会はむ年は経ぬとも
中臣郎女『万葉集』
鯨魚取り海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干て
山は枯れすれ 作者不詳『万葉集』
藤波の影なす海の底清み沈著(しづ)く石をも珠(たま)とそわが見る
大伴家持『万葉集』
大海に立つらむ波は間あらむ君に恋ふらくやむ時もなし
作者不詳『万葉集』