現代俳句の笑いー現代風素材
川崎展宏の俳句の特徴として、素材に外国の名詞が多いことがあげられる。季語との取合せが見どころになる。現代俳句と呼べる所以でもある。
シグナルのがらがら降りる峡の秋
ゴルファーらヘアピンのごと枯芝に
臘梅をポケットに入れバスが揺れ
クレヨンの沈んでをりし芹の水
振つてみるアフガンの鈴鳥曇
須臾(しゆゆ)にして逆光のジャンク黒揚羽
老鶯の鳴き交はす中アンジェラス
風(アネモス)の花アネモネを提げて来る
フルートになりし男の端居せる
探梅のナップザックに電子辞書
パドックの砂塵たちまち春塵に
星飛んでモノレールといふ弥次郎兵衛
水仙にショート・カットがよく似合ふ
白魚のシーラカンスの如き胴
他に、自転車、電話線、洋梨、郵便車、避雷針、時計、緬甸(ビルマ)、背高泡立草、成人の日、西洋皿、鉛筆立、万年筆、洗濯屋、南蛮煙管、喞筒(ポンプ)、飛行機雲、信号、航空燈、全円、英文学者、地球儀、火車、北緯六東経九十二、潜航艇、思想、金管楽器、炊飯器、弦楽四重奏、皇龍寺(ファンヨンサ)、韓(ハンミンゾ)民族、掃除機、天狼星(てんらう)、万国旗、左右相称(シンメトリー) など日本語化された素材がある。
参考: 現代風素材は、全2308句中149句の6.5%になる。