天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕪村の画賛句(8/11)

  歯豁(あらは)に筆の氷を噛(かむ)夜かな    安永六年(62歳)、自画賛

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  句の意味は、年老いてまばらになった歯で凍った筆先を噛んでは筆を進める寒夜だなあ。
 「歯豁」は、歯が抜け落ちた老人の形容で、韓退之の詩に「頭ハ童ニ歯ハ豁ニ、竟ニ死ストモ何ノ裨アラン」がある。句が老人に関わることを読者に分ってもらうために絵を描いた。俳画における画の役割が見て取れる。

[参考]www.intweb.co.jp/buson/buson_nenpu.htm