天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕪村俳句と比喩―活喩(擬人法)(2/8)

     紅梅や入日の襲(おそ)ふ松かしは
     燕(つばくら)や去年(きよねん)も来(き)しと語るかも
     さくら一木(ひとき)春に背(そむ)けるけはひ哉

     月光西にわたれば花影(かえい)東に歩むかな
*春の暁、月影が西に動くにつれて、花の影が東から現れてくる。漢詩を踏んで、対句仕立て。

 

     行(ゆく)春(はる)の尻べた払ふ落花哉
     雲を呑(のん)で花を吐(はく)なるよしの山   

     くれかぬる日や山鳥のおとしざし
*春の夕日に、山鳥は落し差し(刀のこじりを下げて差すこと)のように、地上に長く尾の影を落としている。 

 

     菜の花の土にやつるる岡辺哉
     若草や藍(あゐ)より出(いで)て青二
     行春の鳥も蛙(かはづ)も泪(なみだ)哉
     行春や水も柳のいとに寄る

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