天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藻の花

 藻は、普通には水中に生ずる草をさすが、花を開かない海藻と花を開く淡水草とに大別する。俳句では主として湖沼や小川などに生じて花を開く淡水草のことを藻という。

 

     渡りかけて藻の花のぞく流れかな      凡兆

     藻の花に吸ひがら落す船頭かな       蘭更

     藻の花の楽譜の如し水の面       高浜虚子

     晩節やポツと藻の咲く硝子鉢     秋元不死男

     藻の花やコキコキ洗ひ今日終ふ足    米田一穂

     藻の小花心まかせの茶代置く      大石秀夫

 

  高原の早き流の中に咲ける藻の花は眼にさだまりがたし

                       鹿児島寿蔵

 

藻の花