天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

和楽器を詠むー琵琶

 琵琶の別名には、「よつの緒」「なかばの月」などがある。

 

  流れくるほどのしづくに琵琶の音をひきあはせてもぬるる袖かな

                         源 俊頼

  よつの緒に思ふ心を調べつつひきありけども知る人もなし

                         平 兼盛

  道をゆづる君にひかれて四のをのねもたかき名をぞあげぬる

                     玉葉集・藤原道長

  よつの緒のしらべにそへし松風は聞きしにあらぬ音にやありけむ

                     新葉集・嘉喜門院

  涙ゆゑなかばの月はくもるともなれて見し世のかげは忘れじ

                    新葉集・後醍醐天皇

  弓張の半ばの月の影よりもなほすみまさる四つの緒の声

                        後小松天皇

  雲の上の半ばの月にひかれてや四つの緒までも声はすむらん

                        義仁法親王

  蘇芳(すはう)染(そめ)螺鈿(らでん)の琵琶の捍(かん)撥(ばち)に人描かれて

  ものいはんとす                服部嘉香

 

  琵琶弾きて駱駝に乗りて何處までも行かん姿勢にて千年を経つ

                         太田絢子

 

琵琶