天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌人を詠むー方代

  白い靴一つ仕上げて人なみに方代も春を待っているなり

                    山崎方代

  このわれが山崎方代でもあると云うこの感情をまずあばくべし

                    山崎方代

  間引きそこねてうまれ来しかば人も呼ぶ死んでも生きても方代である

                    山崎方代

  犢鼻褌(たふさぎ)のごとくにひろきネクタイの朱(あけ)垂らしゐし方代さんは

                   前 登志夫

*犢鼻褌: 「犢鼻」は牛の子の鼻に似ていることによる当て字。 肌につけ陰部を

 おおうもの。男はその上に袴(はかま)、女は裳を着けるところから、したのはかま。

 (辞典による)

 

  方代を知らねば訪うことあらざりし甲州右左口宿(うばくちしゆく)の古道

                   大下一真

  骨壺に揺られ来たりし方代さん魂安からむ郷の墓処に

                   古屋 弘

 

甲州右左口