歌人を詠むー定家
夜の対峙しずかにぞ解くわがうちの定家は熱き手のひらをもつ
川口常孝
歌ひつづけて我(が)は通さむずその昔定家も「袖より鴫の立つ」たる
*藤原定家の歌:
からころも裾野の庵の旅まくら袖より鴫の立つ心地する
定家三十一「薄雪こほる寂しさの果て」と歌ひき「果て」はあらぬを
*藤原定家の歌:
ひととせをながめつくせる朝戸出((あさとで)に薄雪こほる
寂しさの果て
うたよみの定家業平はた小町いやがられつつ教本にをり
池田はるみ
鬼のごとしと定家が言へる己が文字世俗を記して折れ曲がるなり
永井陽子
定家卿の赤銅(しゃくどう)いろになめされたる顔うかびきて伏拝(ふしがみ)
王子(わうじ) 小黒世茂
定家より癖なき道長の手蹟(て)をほめて日記の細かき文字読まむとす