うたの表記
難解歌にも関係するが、一行書きでない短歌や俳句が出現し、極端な表記として、塚本邦雄、岡井隆のように二次元図形配列の表記さえ試みられた。さらに加藤治郎、穂村弘、荻原裕幸などの記号短歌ともいうべき作品もある。文字の向きがばらばらの歌もある。俳句はさすがに字数が少ないので、せいぜい行分けのバリエーションに留まる。高柳重信の例がある。字数・音数の制約は守るが、表記には特段のルールはないので、こうした試みもなされるのである。視覚に訴えて何か伝達できないか、なんらかの情緒を喚起できないか という試みである。
ぎつぎつと音
するリーボッ
クの靴はいて
妖怪の棲む街
を 歩いた 岡井隆 『伊太利亜』
xxx梨xxxx机xxxx雷鳴xxx$$$xxxよせ!
荻原裕幸 『あるまじろん』
言葉ではない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ラン! 加藤治郎 『マイ・ロンサー』
身をそらす虹の
絶嶺
処刑台 高柳重信 『蕗子』
いやあもう入力するだけで草臥れた。
紫陽花や鬱深まれる杜の木々
軍神の視線はるけし花菖蒲