天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

俳句を詞書とする短歌(9/9)

あとがき
 岡井隆の場合、詞書や注釈にも作品として主要な役割を与える方向に展開したようである。その究極の姿が、高見順賞を受賞した詩集『注釈する者』(2009年刊)であろう。俳句あり、短歌あり、鑑賞や注釈が散文詩の形式をとる。
 藤原龍一郎は、俳句に脇句を付けて短歌(短連歌)にする試みをしている。歌集『ジャダ』にある「東京低廻集」―俳句からの変奏曲― がそれである。俳句は、藤原月彦として作った作品。短歌の形で十八首ある。連句の歌仙ともなっているようだ。
 このようなジャンルを広げる文芸作品が今後も活発になることを期待したい。

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詩集『注釈する者』(思潮社