天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石榴

ざくろ

 午後二時からパリーグのプレイオフ、第一ステージの西武ライオンズソフトバンク最終決戦があるので、遠出はできない。トイザラスに行き、お土産の本と小さなおもちゃを買い、藤沢駅に戻って明日の湘南ライナー券を購入したあと、新林公園を歩いた。古民家を移設した庭に石榴の実がなっているのを見つけた。西洋絵画には、静物の中に、よく石榴があるのを見かける。油絵には格好の形状と色艶なのである。百科事典によれば、原産はインド北西部からイランにかけての地域という。日本には平安時代以前に渡来したらしい。人の子を攫って食う鬼子母神を改悛させるために釈迦は、人間の味のする石榴を与えたという。次の一茶の句は、人間の味がするところを踏まえた内容である。和歌で一番古く石榴が詠まれたのは、いつのことであろう。


     わが味とざくろへ這はす虱かな   一茶
     露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す  西東三鬼

  女の童あかき石榴を掌に置きてゐやまひ正し九九をこそよめ
                      北原白秋