天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

しぐれ

鴉天狗

 昨夜のにがい興奮さめやらず、頭ひやさんと北鎌の建長寺に出かけた。昼前から降り始めた時雨がやるせない。こんな天気にも関わらず次々と観光バスが門前駐車場に出入りする。

     漆黒の鴉天狗もしぐれけり
     法堂に頭ひやせとしぐれけり
     しぐるるや供物狙へる墓地の空
     女子マラソン手足悴むゴールかな


  寄進せし金額書ける碑があまた立ちてしぐるる谷戸半僧坊
  「半僧坊大権現」の幟立ちもみぢうつろふ鎌倉の谷戸
  荒行に耐へしあかしの顎鬚も龍が見下ろす釈迦苦行像


 東京女子マラソンは時雨の中で挙行された。優勝した土佐も三位の高橋も疲労困憊して悲壮であった。しかし名前を忘れたが二位の選手は、自己記録を十分も短縮してなお伸びやかな足取りでゴールした。見事!さわやかであった。