天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新緑

新緑と山藤

 初夏の森林浴をせんと大磯湘南平の端の高麗山に登った。大磯駅から旧東海道を歩いて高来(たかく)神社に行き、地獄沢を廻って山頂をよぎり楊谷寺横穴群の谷に降りて、大磯駅に戻った。晴天、しかも連休中ながらこのあたりを歩く人は少ないので気持が安らぐ。
 大磯の楊谷寺横穴群の谷間では、すばらしい山藤の群生を見つけた。五、六年前に中津川渓谷で見た山藤には及ばないが、気軽に来れる場所なので、今後も楽しみにしたい。


      見上ぐれば眩暈にかすむ新樹かな
      新緑の谷山藤の絵巻かな
      鹿子(かご)の木の肌のまだらや五月来る


  登りきて酸素不足になりぬらむ日の斑が誘ふ眩暈なりけり
  王朝の色に咲きたる山藤のおもく懸かれる谷間(たにあひ)
  の木々


  うぐひすの声みづみづし谷間の新樹に懸かる山藤の花