天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

どくだみ

どくだみの花

 ドクダミ科の多年草。生薬は化膿、創傷にはり、煎じては利尿、駆虫薬に用いる。十薬の名でも知られる。二宮町の吾妻山に登って行くとこのどくだみの白い花が目立つ。菜の花が咲いていた山頂の畑には、雑草が茂っていたが、傍らにコスモスが咲いていたのには驚いた。ここでは、他より一季節早く廻っているのではないか。
 吾妻山の北側には、二宮町が運営する小動物園が今もある。以前は随分色々な動物が飼われていたが、どんどん減っていき、今ではウサギ、鹿、数種の鳩、豚などが棲んでいるにすぎない。


      秋桜はや咲き出でて風に揺る
      

  登り来て「迷子多発ご注意」の立札を見るどくだみの花
  山路きてふとも臭へり朝の日にひときは白きどくだみの花
  あるかなき風に大きく揺れにけり杉の根方のひとつ羊歯の葉
  菜の花の後の畑に草生ひてとり残されし麦藁帽子
  農鳥の富士を望みて風に揺るはや咲き出でしコスモスの花
  靉靆の靄に隠るる丹沢の空につらなる白雲の群
  藪蔭に蝮腹這ふ注意せよ 森の小道にコナラささやく
  さびれたる小動物園の檻の奥助けを呼ぶか孔雀啼きたり
  咲き出でしほたる袋の白と赤 新装なりし浅間神社
  梅の木に雌雄あるらし実の成れる木に寄り添へる実の
  成らぬ木は


  風化せる石鼎こう子の夫婦句碑かたみに添へる大小の石
  秋くれば赤き実熟す朝の日に白きはまれるヤマボウシの花
  桧皮葺神社となれり山頂に木花開耶姫を祭れる
  どくだみの臭へる藪に棲む蛇の毒を想へば清らかならむ
  キャンギャルはキャンペンガールの略と知る電車の壁の
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