芭蕉の開眼1
昼休みに九段下の本屋に入って面白い本はないかと探していたら、長谷川櫂著『「奥の細道」をよむ』という最新刊(ちくま新書、6月10日発行)を見つけた。芭蕉については、山なすほど多くの研究書があるのに、今更何を言いたいのだろう、という興味から購入した。
先に「あとがき」に目を通すと、次ぎのような著者の観点が書いてあった。要約する。
1.芭蕉にとって『おくのほそ道』は、古池の句で開眼した心の
世界の展開の場であった、ことを明らかにしたい。
2.『おくのほそ道』が歌仙を面影にして書かれていること。
初折の表裏、名残の表裏と4つのパートに分かれ、各々の
主題は、旅の禊、歌枕巡礼、太陽と月、浮世帰り と
なっていることを示す。
3.「不易流行」と「かるみ」は、芭蕉の宇宙観・人生観であり、
1つのことの言い換えにすぎないことを指摘したい。
なかなか意欲的な評論であり、一気に読みとおすことができそう。