天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

馬酔木

吾妻山にて

 あしび、あせぼ、あせみ などという。ツツジアセビ属の常緑低木。全株が有毒で、馬が食べると麻痺することから、この名称がついた。現に葉を煎じた汁は殺虫剤に使われる。3月から4月にかけてスズランのような小花が房状に垂れて咲く。万葉植物でもある。



  磯のうへに生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと
  言はなくに            万葉集大来皇女
                    
  来る道は 馬酔木花咲く日の曇りー。大倭(ヤマト)し遠き
  海鳴りの音            釈 迢空

                         

  とりとめもなくかすみたる三月の富士はいまだも雪をかむれり
  赤茶けて風にふかるる杉の木々花粉は空に舞ひあがりゐむ
  見えざればマスクに防ぐ春の日の杉の花粉も風邪のウィルスも
  菜の花の向かふに雪の富士見えて犬は噛みゐるビーフ
  ジャーキー


  万葉の植物なればいとほしも長寿の里に馬酔木花咲く