天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新緑の震生湖(1)

震生湖

 秦野市渋沢丘陵の狭間にある震生湖(しんせいこ)は、文字通り大正12年の関東大震災の時に生れた湖である。丘陵の一部が崩壊し、その土砂が谷川を堰き止めてできた自然湖である。主湖盆と副湖盆から成っている。海抜150mのところにあり、周囲1km、平均水深4m、最大水深10m などとなっている。


      やまふじのむらさき垂るる木の間かな
      ぬかるみに藤の花ちる山路かな


  山裂けて生れし湖年ふればへらぶな釣の撒き餌に濁る
  亀ひとつ頭もたげて釣人が餌付くるさましばし見てゐつ
  ボートあまた浮かべて釣れるへらぶなを脅かすらし
  ブラックバス


  新緑を映す水面に浮かべたるボートの人はへらぶなを釣る
  雄鴨二羽尾羽ふりふりぐつぐつと啼きつつ泳ぐ兄弟ならむ
  ブラックバスアメリカザリガニブルーギル生を謳歌
  地震痕(ないあと)の湖(うみ)


  一日中釣糸垂るる湖は山の底ひの新緑に染む
  新緑の樹にまつはりて紫のしづく垂らせる山藤の花
  みづうみといふほどもなき大きさの周囲めぐりて木々の香
  を嗅ぐ