小坪漁港

　鎌倉の海に流入する滑川（なめりかわ）は、昔は場所によって名前が変わった。上流から順に、胡桃川　→　滑川　→　坐禅川　→　夷堂川　→　すみうり川　→　閻魔川　など。
　この滑川が海にそそぐ左側が材木座海岸で、昔は和賀江と呼ばれた。右側が由比ガ浜である。突端が逗子マリーナ、その奥に小坪漁港がある。鎌倉幕府の執権北条泰時が支援して出来た港の和賀江嶋は、遠浅で砂が押し寄せるためにたびたび補修せざるをえず、使い勝手が悪かった。そのため後になって小坪にも港を造った。
　今の時期、小坪漁港には若布がたくさん干してある。なお和賀江嶋史跡は、いつもは材木座海岸から眺めているのだが、逗子マリーナから見ると全貌が分かりやすいことに気付いた。

　　　　　　浮き出でし鵜の前に干す若布かな
　　　　　　うららかや筋違橋（すぢかひばし）に橋は無し
　　　　　　尼僧きて挨拶交はす墓地の春

　　人の住む気配無き窓あまた見ゆ逗子マリーナの椰子並木道
　　累々と石組はあり引き潮に姿あらはす和賀江嶋跡
　　実朝の愚を嗤はれて朽ち果てつ浜に造りし大き唐船