天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

切株の移植

鎌倉鶴ケ丘八幡宮にて

 鶴ケ丘八幡宮の倒れた大銀杏の行く末が心配で、再び訪ねた。右の写真のように切株の移植が終わっていた。残りの幹や枝がどうなるのか、まだ分からない。元の場所は整地されて、多分苗木が植えられるのだろう、縄張りがしてある。移植した切株には、ひこばえはまだ芽吹いていないようであった。


  切株を西七メートルに移したり再生ねがふ結界の縄
  あらためて幹の大いさ眼前に切口さらすこの大いちやう
  決断のすみやかなれば移植後の再生とげむ銀杏切株
  大木に育つを見るに数百年 倒れし跡のいちやうひこばえ
  樹木医が刷毛にて塗れる防腐剤移植切株の再生ねがひ
  禰宜巫女が集ひて祈る再生は移し植ゑたるいちやう切株
  実朝の暗殺を知る大銀杏倒れし後も生かされてをり
  生きてなほこの世の惨を見とどけよ移し植ゑたるいちやう切株


[追伸]源実朝が詠んだ鶴ケ丘の歌を、「金槐和歌集」から一首次に紹介しておく。

  鶴岡あふぎて見れば嶺の松こずゑはるかに雪ぞつもれる