天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蜻蛉

藤沢市新林公園にて

 せいれい、トンボ。トンボ目に属する昆虫の総称。世界には約5000種が生息。不完全変態。卵から幼虫(ヤゴ)を経て成虫に至るその一世代は、短くて半年、長ければ数年で、ムカシトンボなどでは7年を要するという。成熟するまでに生活の場所を移動する種類が多い。


  一匹のあきつの飛ぶに死囚われ愛(かな)しきまでに子のころ憶ふ
                      島 秋人
  流れつつ曇(くもり)薄るる昼の空やんまが飛べりひとつしづかに
                      福田栄一
  四十にして朽ちざるこころ一瞬を滂沱たり風中の蜻蛉(せいれい)
                      塚本邦雄
  夥しき蜻蛉を吐くけふのかぜシベリアよりの風とつたへて
                      山田富士郎
  さし入れて水に産みゆくやんまの尾杭のごときが震えておりぬ
                      梅内美華子