椋鳥(むくどり)
むくどり科。全国に分布。平地から低山の林にすみ、木の穴、人家の屋根や戸袋の隙間などに巣を作り、青い卵を産む。群れなして、じゃーじゃー鳴きながら空を渡る様は、まことに不吉である。街路樹に群れると糞害になるし、桃、柿、蜜柑などをついばまれて困ることもあるが、害虫駆除もしてくれる。
秋晴れの空高くして椋鳥の群れ飛ぶころとなりにけるかも
春山鶴子
椋鳥はきりりきりりとうるさくも鳴き囀りて春のあけぼの
中村柊花
群れ群れて空飛びめぐる椋鳥は向変ふる時かがやきにけり
半田良平
椋鳥の夕べあまたの群がりて大木は渦なす声にふくらむ
久泉迪雄
あなどられやすきおのれか椋鳥が戸袋に巣を懸けはじめたる
杜沢光一郎
心臓のごとまた魂のごとくして椋鳥の群は伸縮をする
三井 修
ふきつなる声の梢を見あぐればムクドリとまる死神の相