うぐい
漢字では、石斑魚、鯏 などと書く。コイ科の魚で雑食性。純淡水性と降海型がある。北海道から九州までの山間部の湖や渓流、内湾までに広く生息する。春の生殖期の婚姻色から、この時期のうぐいを桜うぐい、花うぐいなどと呼ぶ。
瀬瀬(せぜ)走るやまめうぐひのうろくづの美しき春の
山ざくら花 若山牧水
汐合川月の出潮にうぐひ飛びそのたまゆらの会ふ瀬といふや
春日井 �恂
二0五0年われらあらざらむ夕映えのごとく朱の色を
佩(は)きたる石斑魚 志垣澄幸
唐野山(からの)よりせせらぐ水に育ちたる石斑魚は橅の
淀へ奔(はし)れり 大滝貞一
花うぐひ幾つか釣れし和(なご)ましさ鉄橋渡る電車見送る
田中粒一
幼子がただ眺めゐるはずがなくバケツのなかの石斑魚がさわぐ
木村悦子
透りたる尾鰭を見れば永遠はすずしそうなり化石の石斑魚
渡辺松男
対岸の小高き岩にゐる人の釣り上げたるは鯎(うぐい)が光る
神作光一