天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

啄木鳥(きつつき)

横浜市舞岡公園にて

 キツツキ科の鳥の総称。スズメ大からカラス大のものまで世界には約210種が分布する。留鳥が多い。日本には、アオゲラアカゲラヤマゲラコゲラクマゲラ、キタタキ、アリスイなどが棲息する。秋の季語。


  庭かげの林檎の幹をあさりゐる啄木鳥は縞の背を見せてをり
                    今井邦子
  あしびきの山川の瀬の鳴りとよみ朝さやけし啄木鳥の音
                    藤澤古實
  きつつきの木つつきし洞(ほら)暗くなりこの世にし遂に
  われは不在なり           葛原妙子


  きつつきは さびしかる鳥。風絶ゆるやまにふたたび
   樹を打ちはじむ          中井昌一


  珍しき鳥がゐるよとわが妻のゆび指すみればコゲラなりにき
                    井上只生
  もろごゑにこげらが鳴ける神保町この街にして夜すがらとほる
                    篠 弘
  酸性雨浴びたる幹をかんかんとコゲラは叩く 叩くほかなく
                    武田弘之