天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

もののふ

鎌倉・源氏山の頼朝像

 武士、つはもの。上代においては、朝廷に仕えた官人をも指したが、中古以降は武勇をもって仕え、戦陣に立つ武人のみを意味した。


  もののふの矢なみつくろふ籠手(こて)の上に霰たばしる
  那智の篠原              源 実朝


  命をば軽きになしてもののふの道より重き道あらめやは
                     源 致雄
  もののふのこれや限りの折々も忘られざりし敷島の道
                     源 和氏
  もののふの一生を追ひて尋ね来し木曽に白雨の糸引きて降る
                     小柳素子
  べきべきと折る蟹の脚よもののふが甲冑を飾るこころ淋しむ
                     小池 光