天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

桐の実

横浜市舞岡公園にて

 桐は初夏に紫の花をつけた後、卵形の実を房なしてつける。十月頃、熟して二つに裂け、翼のある種を多数飛ばす。


     此処に来て桐の実とうす雲の空  藤田湘子


  夕月のさして寒さはまされども淋しきものは桐の実のから
                    尾山篤二郎
  今日はもう十一月の二十日なり桐の梢に桐の実が鳴る
                    山崎方代
  冬が来て桐の木の実がからからと鳴るを宝のごとく拾ひき
                    岡山たづ子
  風なくてけふ桐の実のしづかなり晴るるともなくしろき冬空
                    柏崎駿二