天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

破魔矢

鶴岡八幡宮にて

 元は破魔打という弓矢を用いて的を射る正月競技の一つで、その時の弓を破魔弓、矢を破魔矢といった。この競技は、一年の農作物の吉凶、天候などを占ったもの。現在では破魔矢は、初詣の神社から、厄除けのお守りとして買ってくる。一年経ったら神社に納めて焼いてもらう。俳句の季語は破魔弓で、傍題が破魔矢


     大風の夜を真白なる破魔矢かな       渡辺水巴
     をりからの雪にうけたる破魔矢かな   久保田万太郎
     子に破魔矢持たせて抱きあげにけり     星野立子


  破魔矢持ちて立てる長女に昔むかし若かりし母の笑顔を見たり
                        吉野昌夫
  若さこそ魔のたぐひにてありけるをなんぞ破魔矢を買ふや若者
                        伊藤一彦
  破魔矢など買ひ来て元日の日は昏れぬ今年の希ひもあはく
  なりゆく                  羽場喜弥