天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

江ノ島・龍恋の鐘

 中に吊るした舌が打って鳴るものと外から打つものとの2種類がある。前者には鐸(たく)、鈴(れい)、ベルが、後者には梵鐘などがある。大形の鐘は中国で作られたのが始まりで、朝鮮半島にきて更に大きな梵鐘が出来た。


  はつせ山入相(いりあひ)の鐘をきくたびに昔の遠くなるぞ
  悲しき              千載集・藤原有家


  有明の月のゆくへを眺めてぞ野寺の鐘は聞くべかりける
                    新古今集慈円
  若き法師夕べの鐘をつきをへて静かに去りぬ沙羅の花ちる
                      佐佐木信綱
  学ぶというはかくきらきらとどの窓も燈(とも)る校舎に鐘
  鳴りいでて                武川忠一


  如何ならむ思いにひとは鐘を打つ鐘打つことは断愛に似て
                      道浦母都子
  ゆふつかたへ移る直前鳴る鐘のなるかねのなるかねのなるかね
                      紀野 恵
  鐘の音は鐘を離れて波立ちつつはるかな湖(うみ)に吸はれ
  ゆきけり               東 木の實