天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

地図

日本地図

 現存する最古の世界地図はバビロニアの地図で、幾何学の出現と同時期であった。最初に科学的測量による地図を作成したのは、1695 年にフランスにおいてであった。日本で最初に作成された地図として記録が残っているのは、大化の改新(645年)で土地の測量を行なった時の田や国有地を記したものという。実物は残っていない。現存している最も古いものは、天平勝宝3(751)年の「東大寺近江国水沼村墾田図」という絵に描いた地籍図。正確なものではないが、以降の村地図に大きな影響を与えたといわれる。


  差し入れの地図でのみいくヒマラヤよこの褐色はみどり
  と読まむ               小嵐九八郎


  六号室を出てゆく朝に一枚の地図が輝く南の壁に
                      穂村 弘
  あやまりにゆくとき地図にある橋は鴎の声にまみれてゐたり
                      魚村晋太郎
  色刷りに変はりし五万分一地図をひろげて遊ぶ二日ばかりは
                      吉田正俊
  人間の不遜がえがく新しい都会の地図にふる砂ぼこり
                      赤座憲久
  遠き雲の地図を探さむこの町をのがれむといふ妹のため
                      大西民子