鮫
サメ目に属する軟骨魚類。手のひらに収まるものから18メートルにもなるジンベイザメまで、大きさや形は様々である。頬白は人を襲うの人食い鮫と呼ばれる。特異な種類として、ユメザメ、ミツクリザメ、ビッグマウス、ラブカなど化石鮫と古代鮫とも呼ばれるサメが相模湾、駿河湾に多数棲んでいることが知られている。関西では鮫のことを鱶(ふか)と言ったが、関東では特に大型のものをフカと呼んだ。
葉山御用邸に隣接する葉山しおさい博物館で、初めてラブカの実物標本を見た時はびっくりした。新江ノ島水族館には、ミツクリザメの標本があるらしいが、これは未だ見ていない。
艙口(にとりぐち)にわたす板の上ひきずられ鮫のからだの
大きかりけり 川田 順
けだものの肌なす岩にくろき腹みせて日向に海鮫死せり
前田夕暮
鱶(ふかざめ)は大地の上に歩かねばただにごろりところが
されたり 北原白秋
たたきの上に山とつまるる鮫の体だらりぐたりと垂れて
あへなし 橋本徳寿
三億年の歳月海を漕ぎいたる鮫の裸身のかなしき灰色
井辻朱美
迷ひ鮫孤独に泳ぎをるならん夜の海おもひ山に眠れり
森重香代子
「やさしい鮫」と「こわい鮫」とに区別して子の言う
やさしい鮫とはイルカ 松村正直
青嵐ふく夕まぐれ路地の口より鮫のあたまが出かかつてゐる
花山多佳子
雲のごとく鰯群れゆくかたわらに現われし鮫しばし添いゆく
岡部桂一郎
NHKスペシャル「謎の海底―サメ王国」で、化石鮫の撮影現場が紹介されていたが、大変迫力があった。右上の画像は、その中のミツクリザメのカットである。