天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪見(1)

柏尾川にて

 大雪で被害が出ている現状では、雪景色を愛でるどころではないが、少ない雪が山川、沼地、池、神社仏閣に降ったり積もっている情景は、観賞の対象となる。雪見は花見、月見と並んで日本の古くからの風流な文化であり、まとめて雪月花という。


  雪見んと思ひし窓のガラス張(ばり)ガラス曇りて雪見え
  ずけり                正岡子規


  降る雪に灯(あかり)向けしめその雪のほたほたと出でて
  飛ぶに胆(きも)冷ゆ          北原白秋


  死んだろと噂してたよ何言やがるベッドで元気に雪見
  してたぞ               森本治吉


  雪見障子作りくれたる心遣(や)り充たして今朝の束の
  間の雪                田所妙子


  雪を見に来よとの便り来ずなりてふたとせ君は雪かづく石
                     浅田雅一
  うたかたの雪見の酒のうまかりし今生の雪くるほしく降る
                    上田三四二
  降る雪の狂ふをみつつよろこべる心つくづくさびしかりしか
                    馬場あき子