ガンカモ科の渡り鳥。北半球の寒帯で繁殖し、秋に日本へ渡ってくる。真雁が代表的で背は暗褐色、額に白斑がある。越冬した雁は三月下旬に北へ帰る。それを帰雁とか行く雁という。俳句では秋の季語。
七階に空ゆく雁のこゑきこえこころしづまる吾が生あはれ
宮 柊二
つらなめて雁ゆきにけりそのこゑのはろばろしさに心は揺ぐ
宮 柊二
天に近きレストランなればぽきぽきとわが折りて食べるは
雁の足ならめ 葛原妙子
白燈の下なる雁よ 皿の雁よ 天にはつかに光りし雁ながら
葛原妙子
雁を食せばかりかりと雁のこゑ毀れる雁はきこえるものを
葛原妙子
声捨てて天涯こゆる雁列の尾部見えてをり如月小路
安永蕗子