天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雁(1)

BBC地球伝説の画像から

 ガンカモ科の渡り鳥。北半球の寒帯で繁殖し、秋に日本へ渡ってくる。真雁が代表的で背は暗褐色、額に白斑がある。越冬した雁は三月下旬に北へ帰る。それを帰雁とか行く雁という。俳句では秋の季語。


  七階に空ゆく雁のこゑきこえこころしづまる吾が生あはれ
                     宮 柊二
  つらなめて雁ゆきにけりそのこゑのはろばろしさに心は揺ぐ
                     宮 柊二
  天に近きレストランなればぽきぽきとわが折りて食べるは
  雁の足ならめ             葛原妙子


  白燈の下なる雁よ 皿の雁よ 天にはつかに光りし雁ながら
                     葛原妙子
  雁を食せばかりかりと雁のこゑ毀れる雁はきこえるものを
                     葛原妙子
  声捨てて天涯こゆる雁列の尾部見えてをり如月小路
                     安永蕗子