天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山下清さん(3/8)

貼り絵

 清さんは、二十一歳までは千葉県各地を放浪し、いくつかの職場を転々とした。馬橋の魚や、我孫子弁当屋、馬橋の妾宅などであるが、いずれも長くは務まらず自ら出奔したり、追い出されたりした。また日数が経つと同じ家に舞い戻ってきて世話になる、ということもあった。


  まま父の乱暴絶えずお母さんは清をつれて宿を移つた 
  さかな屋を逃げ出し母を困らせる 母といつしよに働きたいと
  お母さんとたつちやん、源ちやん、愛子ちやん ぼくの家族の
  住む信濃町


  九年ぶりに弟とする将棋には負けてばかりでかなはなかった
  ただ飯を食べて遊ぶは悪いから貯金を全部母にさし出す 
  泣きむしの一年生の女の子おれをバカと呼び絵が下手と言ふ 
  「写真より写生の方が絵が生きる」 をぢさんは言ふ今日の絵を見て 
  ゴッホが描いた絵は実物と違ふから絵らしく見えるみんな上手だ