天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ナイフ

ナイフ

 古くからナイフは狩猟の道具、戦の道具、調理の道具また様々な制作の道具のために用いられ
てきた。その素材は時代とともに変化し、より加工し易く、より硬質で磨耗しにくい物に移り変
わり、その加工技術は様々である。
 ナイフを見てあるいは手にとって感じることは様々ある。以下の作品にその例を見ることがで
きる。


  磨きたての細刃のナイフ物清く割きて匂はすさながらの君
                      尾上柴舟
  尋常のおどけならむやナイフ持ち死ぬまねをするその顔その顔
                      石川啄木
  研ぎあげしナイフ一振り水張田の水のごときが抽出に在り
                      安永蕗子
  切るナイフえぐるスプーン刺すフォークきらきらしくて
  燦たり食は               松平盟子
  水のごと光りてゐたる卓上のナイフが急に流れはじめる
                      足立晶子