天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

霊魂のうた(5)

amanokakeru2017-12-11

大平修身の歌は、かっこいい。来嶋靖生では愛する人から迫られた時のような事態を思う。
大西民子は流木をじっと眺めていて、自分のことか別れた夫のことを思ったのだろう。竹山 広の歌の場面は分かりにくい。乙女たちは誰かを見送っているのであろうか。


  たましいのくらがりに就き思い来つたましいはくらがりに
  しか過ぎざらむ            田井安曇


  ただ一度の生きざま重し自らの魂すがやかに悔いざらんとす
                     山田あき
  魂は売らずといへば夜の空に遠き花火がひしひしと顕つ
                     三國玲子
  夜の闇をゆらぎてかゆかむ粛々とたましひは青き口笛を吹く
                     大平修身
  膝詰に迫らるるときかなしみてさまよひ出むかわれの和魂(にぎたま)
                     来嶋靖生
  いづくまで行く魂か流木のかたちに流れつくことのあり
                     大西民子
  魂をふり落さむとひた振りに振るをとめらのほの暗き肉
                     竹山 広
  亡きあとのわが魂の寄りどころ春荒寥と歌碑はしぐるる
                     上野勇