犬を詠う(7/12)
しっぽにはしっぽの思想ありぬべし寝ている犬の尻尾が動く
沖ななも
黒犬に噛まるるわれの泣き笑い利鎌のような月が見ている
竹脇敬一郎
巨きなる睾丸は垂れハスキー犬楚楚たる少女にしたがひ往くも
島田修三
言ひ分のある面つきと見てをればこれの柴犬なみだぐむかな
島田修三
にほひにて敵意を知るといふ犬に見えぬうちから我は吠えらる
竹山 広
ゆふぐれは犬にも愁あるごとく傍らに来て焚火をみつむ
王 紅花
かへりみて言葉短し大方は命令形にて犬を従ふ
徳山高明
沖ななもの歌: 上句は下句の情景から導かれた表現。
王紅花の歌: よく分る。
画像はシベリアン・ハスキーで、シベリアからカナダ北極圏にかけてのツンドラ地帯を原産地とする、社会性に富んだ性格の大型犬種。古くから犬ぞりなどの牽引による人荷の運搬・狩猟補助などを行う用務犬として重用されてきた。