住のうたー暮らし(2/5)
爪先立ちして渡るに似たる生活に子は根をおろし眼を見開けり
五島美代子
しづかなる生活の音或るときは人眠らせる街と思ひき
大野誠夫
この国も日本も寂しついに生きてひとりを守る生活の意味
近藤芳美
生活を芸術化する生き方を思ひゐたりきわが事ならず
柴生田稔
伴侶なき友の生活の片附きてゐるを見つめぬ夜の燈(ひ)の黄
河野愛子
*友はいつ死んでもいいように日頃身辺を片付けているように感じられる。
生活を蔑するこころ湧きたれば涙は垂りてとめどなきかも
田井安曇
*作者はクリスチャンであったが、そこからくる感情なのだろうか。
家を建て妻子をなしぬ生活といふ解し難き時空生きつつ
筑波杏明