天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

乗りもののうたー自転車(2/3)

  自転車をならべて親子のゆくみれば子の自転車の真新しけり

                       金沢邦子

  白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり

                       高野公彦

  風いでて波止(はと)の自転車倒れゆけりかなたまばゆき速吸(はやすひ)の海

                       高野公彦

  街川に自転車いくつ水漬きをり死ぬには永き歳月が要る

                       高野公彦

*上の高野公彦の三首は、いずれもよく知られた歌であろう。

 

  分身の如き思ひに近づきぬ夜の駅前われの自転車

                       奥村晃作

*よく分かる感覚。共感できる。

 

  宙吊りにされし店内の自転車が運命を待つごとく華やぐ

                       長澤一作

*この歌にも共感できる。

 

  神田川の潮ひくころは自転車が泥のなかより半身を出す

                       大島史洋

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自転車