天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

旅を詠む(6/6)

  この齢になつての旅はもう無理か馴れぬベッドにしばしばも覚む

                      清水房雄

  道のべの 仏の銭をいただきて ひもじき旅を行きし日おもほゆ

                      岡野弘彦

  月光は湾をくまなく照らしいて旅の途上にみる旅の夢

                      谷岡亜紀

  あれは滝ここは紅葉とささめゆき降るやうならむ旅の時間は

                     池田はるみ

*ささめゆき: ひそひそ囁きながら行く。この歌では、細雪ともかけて下の降るを呼び出している。

 

  永遠に話し続けているだろう旅の途中は旅の話を

                      奥田亡羊

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