天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

霧の芦ノ湖

amanokakeru2005-07-17

   ひぐらしの鳴きやみたれば鶯の声しきりなる宿の裏山
   ペンションのベッドに聞けば鶯の恋の成就ははかりがたしも
   奇妙なる叫び残して鳴きやみし鶯の恋破れたるらし
   うぐひすの恋のゆくへを思へりき裏山せまる宿の寝床に
   うぐひすの声遠ざかる裏山にまた湧き出づるひぐらしの声
   早起きの鶯の後二時間をおきて啼き出だす時鳥かな
   うぐひすの声に混じりて時鳥今啼き出せり二時間おくれ
   霧ふかき湖畔の森にさまざまの小鳥鳴くなりいのちの朝を
   朝霧の晴れゆくほどにたひらけき箱根権現御手洗の池
   ひぐらしの声のさみしき朝もやの大涌谷をゴンドラに越ゆ
   紫陽花のおほかた褪せて見苦しき湯本の駅に帰り着きたり


       裏山のうぐひす咽喉を競ひけり
       朝露のしたたる音にめざめけり
       昧爽に遅れて目覚むほととぎす
       朝露のしきりしたたる宿の庭
       富士を見る杉の天辺ほととぎす
       ゴンドラに団扇あふれて谷を越ゆ


 十七日は、朝九時半箱根町発の海賊船で桃源台にもどり、昨日きたルートを小田原へと引き返した。