天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蝉の骸

 靖国神社境内の木立では相変わらず蝉しぐれが盛んだが、
地面のそこここに蝉の骸が目立ち始めた。


       鎮魂碑耳を聾する蝉の声
       夏痩せの鴉は不気味見つめあふ
       木漏れ陽やひぐらし生を終へて落つ
       そこここに蝉のむくろや陽衰ふ


   泥被り水面に跳ぬる鯉なれば鱗につける虫払ふらし
   鳴きくらし生を終へたるかなかなの骸清しき木漏れ陽の路