天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ヨットハーバー

火を吐く龍

 今朝の産経歌壇、伊藤一彦選に7月18日作
(川崎大師)の次の歌が入っていた。
   撒かれたる菓子をめぐりて争へる鳩を怖れて
   をさな児が泣く


三時間ほどを江ノ島のヨットハーバーでぼんやり過し、
あまりに蒸し暑いので早々に引き上げた。
  子供らの工夫なるらし糸先の烏賊の切り身に
  ヤドカリを釣る


  ビニールの帆のきらめきて波を切るウィンド
  サーフィンつらなりゆけり


  帆をたたみエンジン駆動に帰りくる朝をあそびし
  大型ヨット


  練習のカヌー、ヨットのゆき交へる海にたゆたふ
  一羽かもめは


  扇風機背負へるさまにバリバリと空をとびくる
  ハングライダー


  照り返すテトラポッドの秋の陽に蝙蝠傘をさして魚釣る
  満ち潮が足元洗ふ釣り人のかなたかすめる伊豆の大島
  うら道に片目つぶれし白猫が身をすり寄する石壁の秋


        きちきちやモデルの少女坐らせて
        うすうすと大島うかぶ残暑かな
        黒猫が毛玉吐き出す残暑かな
        遠泳や赤き帽子のつらなれる
        待つほどに龍が火を吐く赤とんぼ