天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

菊の花

 「古志」十一月号、長谷川櫂主宰の白桃という十五句の内に、次のような作品がある。
        桐一葉又一葉又一葉哉
これは、阿波野青畝の
        山又山山桜又山桜
と同じ作法、というか応用である。よく解釈できない作品に、
        露の上に露を結べるごとくなり
がある。何がーーーのごとくである、という「何が」が抜けている。主語が不明なのである。
はたと膝をたたいて感じ入る句もある。
        さはさはと蓑はしぐれの音すなり
落柿舎の詞書がある。まことに言いえて妙。落柿舎は俳句三大道場のひとつで京都嵯峨野
にあることは周知であるが、実際に訪れてみると、蓑が壁にかけてある。


        白菊の芯はこがねの光かな
        白菊に絹のひかりのありにけり
        日出づる国の香りや菊の花