天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横書き短歌

 先日、岡井隆の歌集『伊太利亜』について、その横書き短歌の効果を分析したが、たまたま岡井自身が、横書き短歌のことを述べている対談を見つけたので、以下に要約しておく。
  *インターネットが隆盛の時代、短歌は今後横書きになる。
  *外国語が簡単に取り入れられるので、どんどん入れればよい。
  *横書き短歌の場合、縦書きの場合と同じようにベタで続ける
   のは最悪。どこで改行するか、行の初めをどこから書くか
   (インデンテーション)などに工夫して、視覚的な印象を
   追及すべき。
  *平安朝の屏風歌においては、早くから和歌の文字の散らし方
   に工夫している。いつまでも縦書き一行を遵守するのは
   おかしい。

 まことに前衛短歌の旗手らしい柔軟な考え方である。ただ、横書きの経験がない選者は、嫌がるであろう。二次元の視覚的印象までも評価しなければならず、鑑賞がより難しくなるからである。
 斉藤茂吉には、ドイツ語を入れた縦書きの短歌があるが、それを横書きにする場合には、どんな工夫が効果的であろうか?

  寒の夜はいまだあさきに洟はWinckelmannのうへにおちたり


この書き方ではダメ、と岡井は言う。では、

  寒の夜はいまだあさきに
      洟は
  Winckelmannのうへに
      おちたり


ではどうか? また楽しからずや。